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おとなの女性の為のえっちな恋愛カタログ
第11章 カタログ NO 9 ユガミノクニ
ああ そうか
夢か…と 総一郎は
ぼんやりとした頭で考えていた
『どうして、こんな…酷い事…するの?』
見覚えのある自分の
部屋の床に座り込んだままで
自分の顔を押さえて
泣きじゃくる女…がひとり
その顔に見覚えはあった
でも その名前は
俺の記憶には なかった…
誰…だ? この女は
廊下の壁に背中を預けながら
その女に冷ややかな視線を向けているのは
間違いなく 俺で
これがいつの記憶なのかも
俺には曖昧なままだった
いや 正確に言えば…
これは いつの どの女の時の
記憶だったのだろうか…と言った方が
正しいのかも知れない
ユガミノクニ
『貴方がそんな人だなんて!
思っても居なかった。嘘つきっ!!』
さっきまで 泣きじゃくるしか
して居なかった女が顔を上げて
そう 過去の俺に罵声を浴びせる
『俺は、付き合う前にちゃんと
君に忠告しただろう?俺は
見た目通りの性格をしていないし。
俺の事を理解出来ずに、勘違い
してる人間が多いんだ…とな』
『嘘つきっ、騙したのねっ!』
『嘘つき…か、俺は嘘をついた
憶えは無いがな。君に嘘を…
つかれた憶えならあるがな。
俺は、嘘は嫌いなんだ。悪いな』
嘘つきは 俺なのか?
それとも
嘘つきは 君の方なのか?
『最初に言っただろう?
その言葉を俺から欲しがったり、
俺に言ったりしなければ。
俺は、俺のままだと。
俺は、”毎回”ちゃんと忠告してる。
君にもそれはしたハズだが?』
ユガミノクニ
俺はこの いつの事だったかも
思い出せないでいる
いつかの 記憶の中で
「そう俺は、毎回ちゃんと、
そうなりたいと望む相手に
それを、忠告して来てるのにな…」
そう総一郎は
ぼそっと呟く様に言った
その言葉は
俺自身への言い訳にしか過ぎない
どうにもこうにも
世の中と言うのは
俺の思う様には なっていない様だった
総一郎が眠りから醒めて
まだ真っ暗な部屋の中を見回す
しばらくすると 目が闇に慣れて来て
薄っすらと室内の様子が
見える様になってくる
人の気配がする
俺は隣に誰かが居ないと夜眠れない
昼間に眠るなら問題ないが
夜はひとりで眠る事が出来なかった