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第3章 カタログNO　２　呼びたい男と呼ばない女　後編

「アンタに、普段しねぇ
そんな恰好させてる男の話」

意味が分からないと言いたげな
顔をしてあいりがこっちを
睨むかのような視線で見て来るから

「とりあえず、車、いつまでも
ロータリー置いとけないから。
移動する？けどいい？」

「はい、すいません」

「で、どこ行けばいいの？」

運転席に座って
エンジンを掛けると
助手席のあいりに問いかけた

「えっと…」

「１０秒以内に決めないと、
強制的に、俺ん家行くから」

「じゃあ、臨海地区で！」

「おけ。了解っと」


臨海地区に何があるのかと言うと

大きな商業施設と

海沿いのプロムナードに

シンボルマークの観覧車


芝生公園とスタバ


地元のラジオの週録スタジオがある辺りだ


商業施設には


レストランや雑貨屋を始めとする

様々な店があり

センスのいい　
銀のアクセサリーを扱ってる
ショップとかもあるから

たんまに　買い物には行くけども

ゲームセンターに　映画館もあるが


ここから　その臨海エリアへは

車で１５分ほどの距離で


信号待ちをしてる時に
助手席のあいりに問いかける


「何で、呼んだの？」

「前に言ってたから」


そう言えば　そっちから呼んで欲しいって

前に　ベッドで言った記憶が


薄っすらとあって


「後、昼じゃないと見れないから」

「見れない？何の事？」

「行けば、分かります」


必要な説明らしい説明を
その口から聞く事なく

車は臨海地区にある
商業施設の地下の駐車場に着いた

空いている所に車を停めると


「で。どこ行きたい訳？」

「確か、こっちの方…」


そう言ってその商業施設から

海沿いに広がる　プロムナードへと

歩いて行くあいりが


「あれ」


と言って指さしたのは


プロムナードの一角に出来た


色とりどりのビニール傘の　アーチで


プロムナードに沿って　

カラフルな　ビニール傘のアーチが


こちら側からは商業施設が邪魔で見えなかったが


百メートルほど続いている様だった


「梅雨の間のイベント…らしくて」

「これ、すっげぇじゃん。
ヤバ、綺麗だし、いいじゃん」


そう　頭上のビニール傘のアーチを見上げて


「前に、そんな事を言ってたから」


俺　あいりに

そんな　話したっけ？