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Autamoon(秋月夜)
第10章 料理の下手な女
 ①

 出張の夜…

 わたしは大抵、その泊まっているホテルのバーで飲む。

 それがわたしの出張の夜のルーティン…

 そして気が向けば…

 たまにはつまみ食いをする…

 いや、される…

 そしてやはり…

 その土地、土地なりに色々な味があり、わたしはそれを楽しんでもいる…


 そして今夜も…

 バーに繰り出していた…



「なあ、料理の旨い女と下手な女…
 どっちがいい?…」

 わたしがカウンターの一番端の席で飲んでいると…
 反対側の端で、30代後半のサラリーマン風の男二人がそんな会話をし始めてきたのが聞こえてきた。

 微かにジャズのスウィングが流れている静かなバー内では、意外と会話は聞こえてしまうのだ…

「え、そりぁあ料理の旨い、上手な女に決まってるだろう…」
 バーボンのロックだろうか、グラスを傾けながらそう応える。

「そう…そうだよなぁ…普通は…」
 ロンググラスを手にしているもう一人の男がそう返す。

 そして続けて…
「だけど俺はさぁ、料理の下手な女はセックスが上手い、いや、旨いし、とてつもなくいい女だ…
 と、思ってんだよ…」

「は、なんだそりゃぁ?」
 ロックグラスの男が苦笑いする。

「料理なんて興味ない…
 美味しい料理は男に貢がせる…
 自分は常に外食か…」

「え、外食なんだ?…」

「あぁ、もしくは…レンジでチンだよ」





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