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バガテル第25番イ短調 (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…

145
「………………………」
その夜僕は、この手紙を何回も、何十回も読み直した。
だけど…
だけど…
理解できなかった…
いや、理解したくなかったんだ。
そしてもうひとつ…
なぜかこの手紙の便箋の中に指輪が…
いわゆる
『クロームハーツのタガーリング』
と、呼ばれる類の指輪が入っていたんだ…
確かこの指輪は…
葵さんと仲良くなって直ぐの、そう、初めて入った葵さんのあのほぼ何もない無機質的で虚無感漂うあの部屋に唯一あった机の上に、ポツンとあった記憶が残っていた指輪であった。
そんな存在感を微かに、そしてかろうじて覚えている様な指輪が一つ便箋に同封されていた…
え、何なんなんだ?…
意味が分からないよ…
まるで遺品みたい…
それの存在の意味も全く分からなく、いや、理解できなく…
何もかも全く理解できなかったし…
いや、理解したくもなかったんだ…
そして…
そんな突然消えてしまうようにドイツへ留学なんて…
お別れの言葉も交わせないで…
まるで失踪、蒸発じゃないか。
そして僕はまだ中学三年生の子供で…
何の力も無いし…
ハッキリいってどうしていいのかも分からない。
心にはポッカリと穴の空いた様な大きな喪失感と…
悲しみと…
哀しみと…
焦燥感と…
絶望感と…
何にも手につかない空虚感…
最悪な表現の全ての想いが心の中でグルグルと激しく渦巻いていた。
しかも明日から夏休みが終わり、新学期が始まる…
葵さんはワザとこの前日に指定して手紙を家政婦さんに託したと書いてあったけど…
僕の中の葵さんの存在感があまりにも大きくて、いや、巨大過ぎて…
とても切り替え、リセットなんで出来やしないよ。
そしてあまりにも哀し過ぎて…
リアル感が無さ過ぎて…
涙が出ない。
すっかり心が砂漠の様に枯れてしまったみたいだったんだ…
明日から学校なんて…
とても行けない…
行く気になれない…
酷いよ…
辛いよ…
葵さん…
葵さん…
葵さん…
「………………………」
その夜僕は、この手紙を何回も、何十回も読み直した。
だけど…
だけど…
理解できなかった…
いや、理解したくなかったんだ。
そしてもうひとつ…
なぜかこの手紙の便箋の中に指輪が…
いわゆる
『クロームハーツのタガーリング』
と、呼ばれる類の指輪が入っていたんだ…
確かこの指輪は…
葵さんと仲良くなって直ぐの、そう、初めて入った葵さんのあのほぼ何もない無機質的で虚無感漂うあの部屋に唯一あった机の上に、ポツンとあった記憶が残っていた指輪であった。
そんな存在感を微かに、そしてかろうじて覚えている様な指輪が一つ便箋に同封されていた…
え、何なんなんだ?…
意味が分からないよ…
まるで遺品みたい…
それの存在の意味も全く分からなく、いや、理解できなく…
何もかも全く理解できなかったし…
いや、理解したくもなかったんだ…
そして…
そんな突然消えてしまうようにドイツへ留学なんて…
お別れの言葉も交わせないで…
まるで失踪、蒸発じゃないか。
そして僕はまだ中学三年生の子供で…
何の力も無いし…
ハッキリいってどうしていいのかも分からない。
心にはポッカリと穴の空いた様な大きな喪失感と…
悲しみと…
哀しみと…
焦燥感と…
絶望感と…
何にも手につかない空虚感…
最悪な表現の全ての想いが心の中でグルグルと激しく渦巻いていた。
しかも明日から夏休みが終わり、新学期が始まる…
葵さんはワザとこの前日に指定して手紙を家政婦さんに託したと書いてあったけど…
僕の中の葵さんの存在感があまりにも大きくて、いや、巨大過ぎて…
とても切り替え、リセットなんで出来やしないよ。
そしてあまりにも哀し過ぎて…
リアル感が無さ過ぎて…
涙が出ない。
すっかり心が砂漠の様に枯れてしまったみたいだったんだ…
明日から学校なんて…
とても行けない…
行く気になれない…
酷いよ…
辛いよ…
葵さん…
葵さん…
葵さん…

