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  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
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「さあ、ここ、ここに座ろう」
 僕と舞香ちゃんはベンチに並んで座る。

 夕方は賑やかな公園も、まだ正午前だから静かであり、いや、僕と舞香ちゃんの貸し切りであった…

「ね、ねぇ駿くん…」
 すると舞香ちゃんは脇に置いた僕の手に、自分の手を重ねて…

「わ、わたしと……

 つ、付き合って………」
 と、僕の顔を見つめながら突然言ってきたんだ。


「えっ」
 僕はそんな突然の告白にドキンとしてしまう。

「わ、わたしの気持ちは…
 
 分かってるもんね?…」

「あ、う、うん…」

 それは分かってはいた…

 約半年前のバレンタインデーの時にチョコレートとラブレターを貰ったから…

 そしてそのラブレターには、僕のことが大好きだ…と、書かれていたから。

「な、なんで?…」

 でももうバレンタインから約半年が過ぎ、また、僕はそのラブレターに対して返事もしていなかったから…
 なぜに今、現在、今日の告白なのか?…
 と、いう意味で、そう彼女に問うた。


「なんで?って…
 
 うーんとねぇ…」

 舞香ちゃんは斜め上を見ながら、そう囁き…

「うーんとねぇ…
 夏休み明けの駿くんの雰囲気がさぁ…
 
 うーん…

 な、なんとなくさぁ…

 変わった?…からかなぁ…」

「え、変わったって?」


「うん、あのね…
 今朝ね、朝イチで駿くんの顔を見た瞬間にさぁ…

 あっ、雰囲気が変わったって感じたのよ…」

「雰囲気って?」

「うーんとねぇ…」

 そして、舞香ちゃんは話しを始めてきたんだ…




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