この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
担当とハプバーで
第7章 皮肉のパーティ
改札を抜けて何となくコンビニに寄る。
いつものノンアルじゃなくて、度数の高いチューハイを二缶買った。
ほろ酔いじゃないと九時まで起きて待ってられる自信が無いから。
店員に会釈してから店を出る。
たった一日前。
昨日の今、ハヤテのそばにいた。
ブンブンと首を振ってから歩き出す。
思い出すな。
今夜は特に過ぎっても行けない。
有岡に全部うちあけてしまったから、秘密の扉の鍵が壊れてしまったかもしれない。
それでも絶対に今夜は隠し通すんだ。
今夜、は?
ううん、これからずっと。
ずっとだよ。
有岡の言う通り、ハヤテに会わない方がいい。
気づくと家の前に立っていた。
鍵を取りだして、緩慢に挿し込む。
ガチャリ、と思い音が響いた。
祥里が帰るまで二時間。
何をしていればいいんだろう、と思う間もなく洗濯物を回して部屋中掃除機をかけた。
朝洗った食器が乾いていたので棚にしまう。
それから浴室の前で全裸になった。
ちら、と洗面台を見る。
まだメイクも落としてないのにひどい顔。
クマも凄いし、口角が下がってる。
早くシャワーを浴びてしまおう。
お風呂上がりにさっそくチューハイをグラスに注いで、興味のないニュースを流す。
ぶどう味のそれは爽やかな香りが鼻に抜けて、すぐにほんわりと頭を緩ませる。
半分も飲めば、不安が溶けていく。
祥里に誠心誠意、謝ろう。
気の迷いだった、レスが辛かった、と打ち明けてみよう。
本当に残業と職場の飲み会だけだったのか、確認させてもらおう。
ここ三ヶ月の行動を振り返る。
夜明けのジャックの動画を見漁って、新宿に足を運んで、ホスクラデビューして、ハプバーにまで足を踏み入れた。
まだこんなに行動力があったんだ。
二缶目をぷしゅり、と開けながら笑う。
心底自分に呆れた笑いが止まらない。
相手にされるわけないホストにハマって、たまたまハプバーで出くわすなんて。
神様のいたずらは意地が悪い。
洗濯が終わった呼出音に立ち上がると、世界がゆっくり傾いた。
急いでテーブルに両手をついて、回転する視界が止まるのを待つ。
空腹に飲酒は回りやすい。
効果は十分。
祥里が帰ってきても、怖くない。