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担当とハプバーで
第1章 止まらぬ欲求

 テロップにハヤテと名前が写った。
「んー。同伴? そんなに俺と一緒にいたいの……しょうがないなあ。じゃあ、エース目指してみよっか」
 そこで意地悪なウィンク。
 たった数秒。
 それだけでキャラだった仕草に言葉。
 エースって、一番の太客だよね。
 それを目指せってことは、今すぐ高い酒入れろってことだし、中々な言葉。
 声は予想通り低くて、ゆったりとしてた。
 サングラスをくい、とかけ直すのも狡い。
「え、やば……好きかも」
 つい言葉に出てしまい、口を覆う。
 隣からはまだ寝息が聞こえる。
 やばいやばい。
 レスのくせに嫉妬深い時あるからな、祥里(しょうり)は。
 次の動画にスライドする。
「街中で姫が話しかけてきた時の対応」
 舞台はきらびやかな店内から、歌舞伎町の雑多な人混みに変わる。
 外で見ると尚更オーラがすごい。
 どう見てもホストと言うより闇の方。
 トントン、と肩を叩かれて振り返る。
 振り向きざまにサングラスを取って、下から睨み上げてくる。
「ダメだろー? 店の中で満足しなきゃ……家まで押しかけんぞ」
 急いでスマホの画面を切って、シーツにバンと押し付けた。
 え、やば。
 カッコよすぎない。
 なに今の脅し文句。
 心臓がバクバクと鳴っている。
 アイドルに恋してた頃のようだ。
 ハヤテ、か。
 名前も覚えた。
 ふざけながらも、色気を放って。
「いやー……えっちすぎる」
 抑えきれずに言葉に漏れる。
 こんな男性存在するんだ。
 歌舞伎町にいるんだ。
 耳の上をモミモミと両手でマッサージしてから、もう一度画面をつける。
 メンチを切ったまま固まった映像。
 やばい、深い沼だコレ。
 少し色黒で、黒いリングピアスが耳たぶに二連並んでいる。
 ガラ悪いイケメン、最高だ。
 ついつい他の動画にも指が伸びそうになって、時刻を確認する。
 ああ、変なニュースばっか読んでたせいでもう一時を回ってる。
 寝なきゃ。
 名残惜しくフォローボタンを押して、続きは今度見ようと画面を閉じた。
 ふふ、とニマニマしながら布団をかけ直す。
 良い推しを見つけた。
 しかも三次元。
 久しぶりだなあ。
 こんなにドキドキするの。
 目を閉じる。
 残像のようにハヤテの悪い顔が浮かぶ。
 存在してるんだなあ。
 幸せな気持ちで眠りについた。
 
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