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担当とハプバーで
第2章 危険な好奇心

 文句なんてあるはずないおいしさだった。
 これからは、あの男性が売りに来るんだ。
 思えば半年くらい毎週買ってたのに前の女性の名前も知らない。
 笑顔が素敵だったなあ。
 はいどうぞ、と渡すときにニカっと。
 今日のぶっきらぼうさとはまるで違う。
 でも初々しかったな。
 食べ終えて紙ごみを丸めつつ、動画を遡る。
 興味本位で最初の動画までスクロールした。
 最初は四年半前。
 サムネにいるのは、マサヤとナオキだけ。
 この二人から始まったんだ。
 在籍も長いんだろうな。
 ゆっくりスクロールすると、ハヤテが写り始めたのは三年ちょっと前から。
 しかも最初に出演したであろう動画のタイトルが「激ヤバ新人くんインタビューしてみた」って。
 見るしかないじゃんね。
 イヤホンが外れてないか確認して、ボトルコーヒーを一口飲んでから再生ボタンを押す。
 ドキドキする。
 オープニングトークで、先月新人が二人入った説明があり、拍手でハヤテが出迎えられる。
 肩までの髪をカチューシャで留めてる?
 薔薇が散った白シャツが似合ってなさ過ぎて笑いそうになってしまう。
 え、可愛い。
「先月入りましたハヤテです。就活諦めてきた二十二歳です。こいつ出ると数字取れる枠を目指して頑張りまっす」
 ニヤリと。
 今と同じ笑顔。
 初日の案内が嘘のようにマサヤが背中を叩く。
「ザ、生意気だよね」
「オレ好きなの、この子」
 ナオキが指差して艶っぽく言うと、ハエでも払うかのように手を振ったハヤテがおかしくてたまらない。
 え、でも待って。
 三年前に二十二歳。
 てことは、今は二十五か六ってこと。
 思った以上に年下じゃん。
 衝撃で動画を一時停止する。
 待って。
 七歳下?
 小学校被らないくらい下?
 あれが?
 肌も綺麗だなとは思ったけど。
 うわー。
 見えない。
 え、全然見えない。
 この動画だと二十歳前後感があるけど。
 昨夜のハヤテとリンクしない。
 しかも就活ってことは、四大卒。
 なんでホストになったんだろ。
 メディアでは大卒ホストの特番も見たけど。
 じゃああの裏の空気はどこから。
 刺青はなんで。
 気になる。
 再生ボタンを押す。
「俺、三十までにホストで金貯めてハワイで隠居したいんすよね」
「おやー、随分マイルドな理由じゃんね」
 ナオキの茶化しに首を振る。
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