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第5章 呼吸もできない沼の底

　ずるりと抜かれた指を追うように、収縮するそこが期待を帯びている。
　はーっ、はーっと呼吸を繰り返して、中に残った余韻にしがみついてしまう。
「こんな良い反応、初めてかも」
　愉快そうな声色に、ぎっと睨みつけようとしたら、口の中にハヤテの指先が入ってきた。
　さっきまで自分を犯していた指は、ぐっちゃりと液体が絡みついていて、酸っぱい香りにむせそうになる。
　それでも夢中で舐めてしまう。
　ちゅぷりと抜き取られると、今度はまた唇が重なった。
　熱い舌先が味わうように液体の残りを絡ませ合う。
　もうワケがわからなくなってきた。
　ぼうっと頭が火照って、救いを求めるようにハヤテの背中に手を回す。
「やっば。とろけすぎ。なんでこんな感じやすい子がレスになんだよ……わかんないねえ」
　額をコツンと当ててから、私の右手を掴むと、自分の股間に押し当てた。
　はち切れそうなほど膨らんだそこの感触に、言葉もなくして目を見開いてしまう。
　ハヤテの手が離れても、形を確かめるように撫でる。
「は……ヤラシイ触り方。凛音が乱れすぎだから、もうこんな硬くなってる」
　今、ハヤテの性器に触れてる。
　バチバチと脳が焼きつく。
　店では絶対にありえなかったことの連続に、ショートしそう。
　祥里のは、いくら舐めてもこんなに硬くならなかった。
　カチカチとベルトを外し、ジッパーを下ろすと、重みがずしりを手のひらにのしかかる。
　ベッドの上の引き出しからゴムの袋をつまんだハヤテが、放心する私の真上で袋を歯で開ける。
「つけてる間に上も全部脱いで」
　命令だけは聞き取れて、片袖ずつ腕を通して服を脱ぐ。
　ブラも外して傍によけた。
　ハヤテもばさりとシャツを脱ぎ、鎖骨の刺青が姿を表す。
　隙間から見えていた天使の羽は左胸を覆うほどに大きく、まるで心臓のような存在感。
　視線に気づいたハヤテが苦く笑う。
「センスとか考えんなよ。昼職につかない覚悟で入れに行ったんだよ。おかげで辞めずに済んでる」
　その下の腹筋も美しく割れている。
　半端な筋トレだとこうはならないはず。
「すごい……」
　語彙力なんて消え失せて呟いてしまう。
「いくらでも眺めろよ」
　先端がグリ、と押し当てられる。
「余裕があれば」
　押し開くように大きなそれが挿入ってきた。