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第5章 呼吸もできない沼の底

　はっはっ、と自分の呼吸がうるさい。
　身を委ねてされるがままになってた時とは違う。
　自分の意思で快感を求めて動く。
「どう、しよ……恥ずかし」
　助けを求めようとハヤテを見ると、口に手を当ててまじまじと身体を眺めていた。
「えっ」
「ああ、なんか言った？　おっぱいしか見てなかったわ」
「なにそれぇ……」
　真面目な声で言うからもう。
「コルセンだっけ？　焼けてねえのな。腰細いくせにここには脂肪溜まってんのエロい」
　両手で持ち上げられる。
　人差し指が乳首に当たってビクッとする。
「ハヤテは……沢山見てるでしょ」
「興味ない他人のおっぱいよりも、よっぽど良いけどな」
「ちょっと」
「いいから。出し入れしてみてよ、お姉さん」
　わざとだ。
　絶対わざと今言ったんだ。
　歳下を、一気に感じさせる呼び方にぐっと歯を噛み締めた。
「それとももう腰抜けてんの」
　スルッと手が腰まで下りてくる。
　くすぐったさに目を閉じて、そのままぐっとおしりを上げた。
「だい、じょうぶ……」
　ずず、と擦れながらハヤテのが出てくる。
　少しだけ柔らかくなってるけど、まだこんなに大きいの。
　でも、また見たい。
　服越しに触ったあの硬さを。
　言われた通りにお腹に力を込めて、ゆっくり体を上下に動かす。
「んん……んっ」
　足りない。
　さっきまでの刺激に比べたら全然足りない。
　もっと早く、もっと深く。
　夢中になって腰を浮かせる。
　タン、タンと弱々しくぶつけて。
　脹ら脛が引き攣りそう。
　やだ。
　こんなに動けないの。
　自分が欲しい快感すら遠い。
　背中に汗が滲む。
「ハヤテ……」
「なーに？」
　ああ、意地悪な声。
　その細い目。
　わかってくるくせに。
「う、動いて……欲しい」
　ぺたんと座り込んで。
　懇願する。
「お願い」
　腰を掴んでいた手が、簡単に私を持ち上げてストンと後ろに下ろした。
　抜けてしまった寂しさに下半身が疼く。
　胡座をかいたハヤテが片手で私を引き寄せる。
「じゃあ、咥えて」
　祥里の口癖なのになんて響きが違う。
　濡れて斜めを向いたそれをちらりと見る。
　さっきはまじまじと見れなかったけど、赤黒い棒に血管が浮き出て、剥けた先端はゴムの中でぷくりと膨らんでる。
「着けた、まま？」
「え、外して欲しいの」
「違っ、したことないから……」