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花狂い
第2章 智子
店長から5階から8階までを
担当して貰いたいと指示を受け
各階の引継ぎと売り場を見て回った
5階6階は婦人服と男子小物
7階は紳士服と画廊8階は食堂と催事場と言われ
各階に挨拶に回る 紳士服売り場で懐かしい人と出会った
「阿佐ヶ谷さん お久しぶりです」
本店での売り場でテーラーとして名を馳せた人だった
どうしてこちらにと聞くと 一度辞めて
こちらに娘が孫を生んで 一緒に住み仕立てを始めたが
需要が無いから閉じたと 笑い
こちらの店長に誘われて,また 入った
年取ったアルバイトと 笑う
画廊の責任者の山辺を紹介された
絵に対する鑑定は確か
阿佐ヶ谷の古い友人と紹介され
宜しくお願いしますと 頭を下げ
事務所に戻り パソコンを立ち上げ
売り上げの推移を 追ってみた
確かにここ何年 婦人服も紳士服も売り上げは
右肩下がりを示している
地方の百貨店の位置付けの厳しさを物語っていた
今まで担当だった久保山が 催事スケジュールを持ち
高島の許に来て
スケジュールを説明された
毎週8階の催事は前月までには決まっており
何らかの催しが企画され 次週の催事の備品を
用意する必要が有るから
久保山が須賀さん一緒に倉庫案内してと
須賀と一緒に倉庫に入った
入って見ると 備品が乱雑に積み上げられ
薄暗い倉庫の中で 須賀はリストを見ながら
代車に乗せ始めた
積み上げられた 備品から品台を取り上げた時
上から備品が崩れ落ちて来た
高島はとっさに 手で崩れるのを防いだが
金属製の円筒の 重い灰皿が須賀の上に
落ちそうなのを見て 左手を出した
崩れる音が止んだ時 須賀はうずくまり
手を頭の上に上げ高島を見た