この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第13章 真奈美 46歳
その日は朝からシトシトと小雨が降っていた。
日曜日だというのに
夫は接待ゴルフとかで早朝の4時に起こされた。
「接待だから、つまんないよ」
そんなことを言いながらも
ゴルフウェアに着替えた夫は少しだけルンルンとしていた。
「いいわね、男の人は…
遊びも仕事のうちになっちゃうんですから」
ゴルフバッグにレインコートなどを詰めてあげながら、私は独りぼっちで過ごす日曜日に寂しさを込めて皮肉を言った。
「さっきも言ったろう?接待なんだよ
パーで上がれそうでもわざとボギーにしなきゃいけない堪(たま)らなさを知ってもらいたいね」
そんな事を言いながら、夫はコロンの良い匂いをさせている。
もしかして接待するお相手は女性?
本当にゴルフだけ?
その後、特別な接待もしちゃったりして?
「君もさ、せっかくの日曜日なんだし
羽根を伸ばしてくるといいよ」
優しさを気遣ったつもりでも
胡散臭く感じちゃって、
「そうね、デートクラブでいい男でも見つけようかしら?」なんてイヤミを言ったけど
「その歳じゃ誰も相手にしないさ」なんて
カチンとくる一言を残して夫はイソイソと出掛けた。