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最愛の人
第38章 目に見えない傷
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「愛莉を解放?
俺があいつを手離すわけないだろ!
俺には愛莉だけだ!」

『ふっ』
『ぷっ』
『そう言えばいいんですよ。
もう、傾くことはありません。
さっさとケジメとやらをつけてきてください。

今月、いや、今週中に。
無理なようでしたら、愛莉さんは我々が保護します。

愛莉を心配しているのは愛琉だけではありません。
我々もだと覚えておいてください』

「俺を誰だと思ってる」


美那は取引先の社長令嬢。
この社長に、この会の事が知られてしまったのが全ての始まり。
会社の事はどうにでもなるが、この会を守る義務が俺にはあった。

他言しない条件が“美那と香斐”だった。
最初は流れに任せるといっていたものの、すぐに“結婚”という意図が見えるようになった。
そのうち、新居にまで上がり込み家族ごっこが始まると束縛が強くなった。
今は我慢だと抑えていると、この屋敷のことを嗅ぎ付けここにまで来たいと言い出した。
簡単に試してみたいと言われ、試しに一週間と言ったにも関わらず、我が儘言い放題で2ヶ月も過ごしていった。
もちろん、調教のちの字もかじれなかったが。
香斐に至っては好き勝手に動き回り、あちこちを破壊しやがった。

だが、もう傾くことがないくらい準備は整った。
愛莉、もうすぐ終わるから…もう少し我慢してくれ。

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