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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第7章 『静と言う名の女とオムライス』
僕は…冷蔵庫の中の…ラップが掛った
2つのオムライスを見て。
あの…お袋が…出て行った…あの日に…、
フラッシュバックしてしまって居た。
『お袋の…、オムライス……』
真由美のオムライスは…美味しくないと…
そんな風に感じたのに…、静のオムライスは…。
普通に美味しいと感じる様になって居て。
オムライスを見ると…気持ちが悪くなる様な、
そんな感じも食卓に並ぶオムライスには
感じる事は無かったけど…。
冷蔵庫に…入ってる2つのオムライスは…、
まだ…僕の中でも…ダメだったんだなって。
仁が冷蔵庫の中に…入って居る
オムライスを取り出して。
電子レンジの中に入れると、
あたためのスタートボタンを押した。
あの日…、お袋が
オムライスに添えていたメモは…
しばらくの間…ずっと…、
机の引き出しの所に入れていて。
お袋が出て行ってすぐの頃は、
引き出しから取り出しては
お袋は帰って来るって言い聞かせて、
毎日こっそりとあのメモを眺めていた。
お袋が…戻って来てくれると…
自分に言い聞かせながら。
そんな…淡い期待を…抱いていたんだ。
あたためが終わったメロディが流れて、
仁がオムライスを電子レンジから取り出すと。
それをダイニングテーブルに置いて、
椅子を引いて座った。
『いただきます…』
そう言った所でおあがりなさいが
聞こえて来ることは無いのだが。