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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第17章 『仁さんの退院と前嶋からの依頼』
『すいません、こんにちは
今日は…いいお天気ですね…』
「お兄さんは…この辺の人かい?
私しゃ…この近くに…もう30年以上
住んでんだが…、初めて見る顔…じゃないか」
『そんな珍しい顔でも…、
すぐに無くなると思いますよ?』
「あら、それは…どう言う意味だい?」
今度、この辺りに引っ越して来るので。
今度からはずっと、顔を見る事になると
仁がその高齢の女性に言うと。
隣空いてますよとその女性に向かって
にっこりと…キメ顔で微笑みかけて。
なら、お邪魔しようかしら…?…と
その女性が満更でもない様子で
仁の隣に腰を降ろした。
大岡越前の…母親との
あの有名なやり取りでもないが。
やっぱり…、女と言う物は…。
何歳になっても…『女』だな…。
その…70代か80代かの…
女性が…見せた、一瞬の
『女』の仕草を…仁は見逃さなかった。
「ちょっと、聞いてちょうだいよ。
今時の…若い子は…挨拶もしないのよ。
今はそんな時代なのかしらねぇ…、
ねぇ、あそこにアパートあるでしょ?
そこにね…最近赤ちゃんが
産まれた所があるんだけど…、
そこの若い奥さん、旦那さんが
仕事に行って留守してる間にね、
男の人…連れ込んでるのよ?
それも…毎日よ?生まれた赤ちゃんだって
旦那さんの子供かも怪しいわよねぇ?」