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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第17章 『仁さんの退院と前嶋からの依頼』
自動ドアのスイッチを切って。
ドアのロックを掛けようとした時に。
エレベーターのドアが開いて、
スーツ姿の女性が1人、
エレベーターから降りて来たのが見えた。
お客さん…だろうか…。
凄い綺麗な人…だな…。
凄い…知的な感じもあって、色気のある。
年齢は…40代…ぐらいだろうか…。
じっと…その女性が…こっちを見ていて。
「すいません…、本日は…
夫婦円満本舗は…営業終了でして…」
『夫婦円満本舗?今はここは、
…茂木探偵事務所…じゃないの?』
その女性が綺麗な顔を歪めて、
怪訝そうな表情をする。
女性の口から、茂木探偵事務所の
名前が出て来て。少なくても
この女性は…、
ここが探偵事務所だったのを
知って居る…と言う事になるが…。
「今は…ここは、
茂木探偵事務所では無いです…。
所長をしていた、茂木純二の方は
2年前に急死しまして。
茂木純二の父の茂木辰郎は…もう
探偵業からは引退しておりますから…」
『そう…彼は…死んだの…ね。
でも…あの子が居るでしょう?
純二さんの息子の、仁君が…、
今は…ここを引き継いでるのね?』
この人は…知ってるんだ…、
仁さんの事…
そして…茂木のおじさんの事も。
「あの…良ろしかったら
…中でコーヒーでも…」