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第22章 『初めての彼女』

『親父が…家に居たんだけど
柏葉陽詩の事を孕ませちゃって
その件で中学生を孕ませるなんてって
お袋に緑の紙突きつけられたらしくて。
その時は流石のあの親父も
結構ショックだったみたいでさ。
１０年分ぐらい老けて
一気にオッサンになってたよ？』

「にっ、妊娠……ですか…ッ」

お袋と正式別居から離婚になって、
静さんと親父が会ってたかとか
その辺はわからないけどねと
仁はそれに付け加えた。

柏葉陽詩が妊娠した時も、
知り合いの闇医者に
日本で未認可の堕胎薬を
裏ルートを使って用意させてて
柏葉が副作用を理由にして
飲むのを拒否したから。

別の医者の所で内密にして
堕胎させようとしたみたいだけど。

柏葉が両親に中絶の事を相談したから、
表沙汰になる事になったみたいで。
柏葉が言わなかったら、自分だけで
もみ消してうやむやにして
無かった事にするつもりだったんだろうけど。

柏葉陽詩本人はそう言う
裏の医者の所じゃなくて
普通のちゃんとした市立の
産婦人科で堕胎手術を受けて。

親の都合でって言う
理由で別の中学に
転校する事になったらしい。

『うちの親父は色々な方面の
関係者とは顔なじみだったからさ。
柏葉陽詩の件も…親父が、もしかしたら
芸能界入りを口利きしたのかもって
そんな風にも…ちょっと思ったりとかね？』