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パートタイムラブ…
第1章 パートタイムラブ…


「せ、責任を…責任取ってよ…」

「え?、責任て?…」

 その言葉は無意識に出たのだ…

 ただ、わたしは…

 なぜか…
 
 この男と…

 まだ離れたくなかったのだ…


 すると…

「あ、あのぉ…」

 映画館のエントランスホールに出てから、男は問うてきた…

 その目は、反省と、焦燥感と、後悔と…
 そして戸惑いの色を表していた。


「ゆ、許しては…もらえませんか?」
 すると男はそう言ってきたのだ。

「え…」
 そしてこの時わたしは、その男の言葉でハッと我に還ったのである。

 え、いや違う…


「ほ、本当にすいませんでした…」

 いや違う、わたしは責めている訳じゃない…


「あ、い、いや、あ、いえ…」

 今度はわたしがしどろもどろになってしまう…

「だって…」

 すると男には…
 戸惑いの表情が強く現れてきていた。

 そして反面わたしは秘かに、さっきまでの脚を触られていた時の昂ぶりが蘇っていたのだ…

 いや、この昂ぶりは…
 
「あ、ぁ、そんなに謝らないでください…」

「え?…」
 今度は男が戸惑いの声を上げてくる。


「わ、わたしは、べ、別に…そ、そのぉ…お、怒っている…わけじゃ…」

 この昂ぶりは…

 欲情…

「え、だ、だって、アナタは…責任をって?…」

「あ…は、はい、だから…」

 たから、その責任て…

 それは…

 この…

 欲情の…

 わたしはそんな想いを目に込めて、顔を上げ、男を見つめた。

「え、あ、あっ…」

 多分、わたしのその目は…

 濡れて…

 淫靡な…

 誰にでも分かる様な…

 淫らな…

 欲情の輝きを…

 放っていたのだと思う…

「え、あ、ま、まさか…」

 そしてそんなわたしの淫らな欲情の想いは…

 その男に…

 伝わったみたいだ…

「え、ま、まさか?…」

 男がそう呟くと…

 わたしは無言で、コクンと頷き、まだ握っていた手を…

 ギュッと握り締める…


 わたしたちは大人だ…

 それも中年に差し掛かった大人の男と女なのだ…

 もうそれ以上の言葉は…

「だけど…ここじゃ…」

 イヤ…

 これだけで十分であった…








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