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フラワーアレンジメント
第1章 フラワーアレンジメント…
 ⑪

「和也さんのコーディネーターとしてのプライドって?…
 なに?…」

「え、そ、それは…」

 俺もかなり高鳴り、昂ぶっていた…

 そして…

 男としての本能的な心をも、刺激されてきていた。

 なぜならば…

 この目の前に座っている美しい響子さんの目の奥の…

 微かだが…

 秘かに濡れた、艶やかな輝きの存在に気付いたからである。


 え、ま、まさか…


「ねぇ、和也さんの…」

「は、はい…

 それは…
 季節、季節毎に美しさを持つ素材としての花を…

 いや、花、華を…

 いかに豪華に…

 煌びやかに…

 魅き立たせるか…

 魅惑的に魅せるか…

それを常に意識してアレンジメントしています…」

 例え路傍に咲く、名も無い一輪の雑草の花でも…

 この自分の手によって煌びやかに、魅せたい…

「これが俺のこだわりと、コーディネーターとしてのプライドです…」

 俺がそう言うと…


「……………」

 響子さんは、目を閉じ…

 そして下を向く…

 それはほんの僅か…

 数秒、いや、2、3秒であったのだが…

 何倍もの長さの沈黙に感じられた。


 え…

 俺は、何かヤバい、いや、変な言葉を云ってしまったのか?…

 ジリジリと焦燥感が…

 あ…

 その時…

 響子さんは、スッと顔を上げ…

 そして…

「ふうぅ…」

 と、吐息を漏らし…

 俺を見つめてきた。

 あ…

「ぇ…」

 なんと、見つめてくる響子さんの目が…

 艶やかに濡れていた…

「煌びやかに魅き立たせ…魅せる…か」

「…………」

 いや…

 艶やかに、妖艶に…

 欲情に濡れた目をして俺を見つめていたのだ…

 そして…

 テーブルの下で響子さんの脚が…

 つま先が…

 スッと俺の脛辺りに触れてきて…


「ねぇ…」


 ねぇ…

 わたしも…

 煌びやかに…魅せて欲しい…の…

 アナタ…

 和也さんに…

 魅惑的に飾って…


 コーディネートしてほしいの…




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