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ソルティビッチ
第1章 ソルティビッチ…
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「悠里さん、いらっしゃいませ」
 あの夜から数日が過ぎ、わたしは今夜も『Bar Bitch』へ訪れる。
 
「彩ちゃん『ソルティビッチ』ね…」
 そして、この店のオリジナルカクテルをオーダーする。

「あら、葵ちゃん来てたのね」
 わたしはカウンターの反対側にいる葵ちゃんに気付いた。

「あ、はい、悠里お姉さま…
 今夜は冷たい雨が降ってますからぁ、呼ばれるかなぁって思ってぇ…
 先回りして、来ちゃいましたぁ…」
  と、葵ちゃんはそう言ってきた。

 そう今夜は朝方には雪に変わるかもしれない冷たい雨が降っていた…

 そしてその雨はわたしの自律神経を疼かせ、狂わせてくるのだ…


「あらぁ、そうなのぉ、嬉しいわ」

「はい…」

「だから、葵ちゃんで来たのね」

「はい…」

「でも、先回りじゃなくて、先走りを濡らしてたりしてぇ…」

「うわぁ、さすが悠里さんだわぁ…
 ホント、ビッチなジョークだことぉ」
 と、彩ちゃんが笑う。

 わたしと彩ちゃん、そして駿くんとこの葵ちゃんの三人は、いや、四人と云うべきなのか…
 すっかり心から打ち解け、関係を深めていた。

「あ、あれ、悠里じゃん…」
 すると後ろから、そう声を掛けてくる男の声がした。

「え、誰でしたっけ?」
 本当は覚えている。

「え、あ、俺だよ、俺、少し前にヤッたじゃんかぁ」

「え、あら、そうでしたっけ…
 酔っ払ってたから覚えてないわ…」
 わたしは冷たく言い放つ。

 だが、本当は覚えていた…

「あ、じゃ、思い出させてやるからさぁ…
 今から付き合えよ…」
 その男はニヤけながら言ってくる。

「あぁ、思い出したわぁ…
 あの時の腐れチンポくんねぇ…」
 そしてわたしは、わざと冷たい笑みを浮かべ、そう言ったのだ。

「あ、く、腐れって…」

「そんなさぁ、一度位寝たからってさぁ…
 彼氏ヅラしてさぁ、気安く声掛けないでくれるかなぁ…

 ねぇ…

 腐れチンポくん…」


「うっ、くっ、クソっ」
 そんなわたしの言葉に男は毒付く。

「え、腐れチンポだったんですかぁ?」
 そのタイミングで葵ちゃんが脇からツッコミを言ってきた。

「うん、そう、腐れチンポくんなのよねぇ」

「くっ、うっ」 
 男は言い返せない。


 そして…

「もう、葵ちゃんの半分も無いのよぉ…」





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