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Dear.M ~例えばこんな風に貴女を壊す~
第8章 アイスクリームとUFO
美海さんの誕生日、当日…。

「ねぇ、ほんとによかったんですか?…大空くんと大地くん…寂しがるんじゃ……」

「じゃあ、やめて帰る?……」

そう言われると嫌だと言うしかない。
美海さんの誕生日、私の誕生日は過ぎてしまっていたけど…二人してお祝いしようということになった。
それで、美海さんは旦那さんにも正直に私と一泊で遊びに行くと宣言したらしい。
昼間は妹さんが子供たちを預かり、夜からは旦那さんが面倒をみる。

旦那さんから見れば、ワタシは少し年下の女友達という認識なのだ。
それにしても誕生日当日によく許してくれたと思う。

「ねぇ、なんて言ったの?…家族でお祝いする予定とかなかったんですか?……」

「天音がしつこく誘うから断れなかったって言ったよ…そしたらお祝いは帰って来てからしてくれるって…ちょっと渋々って感じだったけどね……」

「それってワタシが悪者じゃないですか……」

「大丈夫だよ…大空も大地も天音ちゃんならいいって言ってたから……」

私は釈然としない…それでも手を差し伸べられると指を絡めて繋いでいた…。

急に決まったお泊まりデート。
近場だけど温泉を選んだ。
そして、事前に私たちは互いにバースデープレゼントを用意してきた。
それは旅館に着いてからのお楽しみにしてある。

私たちはキャリーバッグ一つに一緒に荷物を詰め込んでいた。
私がバッグを引いて特急列車に乗り込んでいく。
グリーン席ではないが、指定席だ。
寧ろ、この方が距離が近くていい。
美海さんが私を窓側に座らせる。

「ちょっと待ってて…」

そう言うと通路を歩いて行ってしまう。
飲み物は買ったのにと思っていると、膝掛けを持って戻ってきた。

「寒いんですか?……」

「うん…これが無きゃ温まれないからね……」

すぐに美海さんの魂胆は判明する。
列車が動き出すと、膝掛けを開いて二人一緒にかけてきた。

「え?…美海さん…ここで?……」

「天音も寒いでしょ?……」

どうりでミニスカートを履いて来いと言ったはずだ。
美海さんの右手は私の太腿を撫でてくる。
もちろん、美海さんもスカートだった。

「切符の確認だって来るんですよ……」

「天音が私のも持ってるでしょ……」

【論点がずれてますよ……】

「もう…旅館まで我慢できないんですか……」

美海さんは笑顔で…できないと囁いた。

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