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Dear.M ~例えばこんな風に貴女を壊す~
第4章 お隣さん
大地を抱き抱えて部屋に戻っていった。
汗をかいた服をパジャマに着替えさせてベッドに寝かせる。
もう一度体温を計ると八度五分まで上がっていた。
額に当てる冷却シートを取りに立とうとすると、大地が私の袖口を掴む。

「大丈夫だよ、ママ…どこにも行かないから……」

布団に小さな手を戻してキッチンへと向かった。

【さてどうする?…大空が帰ってきたらすぐに病院に行かなきゃ…大空も連れていく?…感染するような病気だったら?…やっぱりだめだ……】

大地の額に冷却シートを当てて、優しくお腹の上を撫でていると、眠ってくれた。

私はすぐにマンションを出て同じ階の北村家のインターフォンを鳴らした。
このような非常事態の時はこれ迄も何度か甘えたことがあった。

定年を迎えた老夫婦の住まい。
人あたりのいい老婦人は…
「困った時はいつでも言ってね…孫だと思ってお世話させていただくわ…」と言ってくれる優しい女性だ。
旦那さんとはあまり話したことはないのだが。

【出ない…留守なんだ…どうしよう……】

「来栖さん?……」

振り向くとそこに引っ越して間もない隣人が立っていた。

「…どうかされたんですか?……」

美海さんは何か焦っているようにワタシには見えた。

「ぁ、えと…うちの子が熱を出して…もうすぐ長男が幼稚園から帰って来るから…少しみててもらえないかと…北村さんに……」

【なるほど…北村さんは留守なんだ……】

「あれ?…ママ……」

てくてくと歩いてきたのは大空だった。
私はしゃがんで両手を広げる。
息子が腕の中に飛び込んでくる。

「ごめんね…下まで迎えに行けなくて…大地がお熱出しちゃって……」

「大地が?…大丈夫なの?……」

【仕方ないな…大空もマスクさせて連れていくか……】

「あ、あの……よろしければワタシが大空くん…預かりましょうか?……」

瞬間、渡りに船だと思った。
でも、よく知りもしない人に甘えていいわけがないと冷静になる。

「いえ、そんなご迷惑かけられませんから……」

「大丈夫ですよ…ワタシ、今日休みなんで…特に用事もないですし…ほら……」

ワタシはショッピングモールで買い物してきたとトートバッグを持ち上げて見せる。

「でも……」

「お隣さんじゃないですか……お子さん、病院に連れていく間だけなんですよね?……」

ワタシもしゃがみこんだ。
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