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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第12章 新たに生まれいでて
次いで、コンはひと振りの懐剣をも差し出す。物問いたげな雪鈴に、彼は真摯に言った。
「これは生命を絶つためではなく、そなた自身を守る剣だ。お守りとして持つと良い」
手に握らされたのは、黒塗りの柄と鞘に満開の桜と満月が象嵌された見事なものだ。
雪鈴は瞳を潤ませて彼を見た。
何も言わずとも、彼はちゃんと判っていたのだ。両班家の息女は物心ついた時、親から懐剣を与えられる。それは守り刀ともなり、万が一、辱めを受けそうになったときは潔く生命を絶つためのものでもある。
「これは生命を絶つためではなく、そなた自身を守る剣だ。お守りとして持つと良い」
手に握らされたのは、黒塗りの柄と鞘に満開の桜と満月が象嵌された見事なものだ。
雪鈴は瞳を潤ませて彼を見た。
何も言わずとも、彼はちゃんと判っていたのだ。両班家の息女は物心ついた時、親から懐剣を与えられる。それは守り刀ともなり、万が一、辱めを受けそうになったときは潔く生命を絶つためのものでもある。