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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第23章 涙雨
兄はつつっと近寄り、小声で耳打ちした。
「くれぐれも用心しろよ。女の園の後宮は怖ろしいところだ。うかとしていたら、すぐに足下を掬われるぞ。妻の実家はいわば外戚であり、殿下とは近しい縁戚だ。舅の妹君が殿下の側室の一人でいらせられたからな。だが、今はそのご側室も亡くなられ、殿下には御子もおられず、次代の王室と我が家を繋ぐ女君は実のところ、後宮にはいない。実の妹である雪鈴が殿下の寵愛を受けているとなれば、俺にも多少の運が向いてくるやもしれん」
「くれぐれも用心しろよ。女の園の後宮は怖ろしいところだ。うかとしていたら、すぐに足下を掬われるぞ。妻の実家はいわば外戚であり、殿下とは近しい縁戚だ。舅の妹君が殿下の側室の一人でいらせられたからな。だが、今はそのご側室も亡くなられ、殿下には御子もおられず、次代の王室と我が家を繋ぐ女君は実のところ、後宮にはいない。実の妹である雪鈴が殿下の寵愛を受けているとなれば、俺にも多少の運が向いてくるやもしれん」