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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第24章 妬心
理性は、もう忘れろと告げていた。何より、自分から去っていった女だ。権力に引き裂かれたわけではない。幾ら未練がましく想い続けていたとしても、何の益も無い。この先、雪鈴が彼の許に戻ることは二度とない。
だが、本当にそうなのだろうか。自分たちは権力に屈したわけではないのか。彼は別れの日の彼女の声、表情、仕草を懸命に思い出そうとした。あの中に一つでも、彼女の〝本心〟を見いだせる希望的観測はなかっただろうか。