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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第28章 哀しきすれ違い
それも無理からぬことではあった。雪鈴は今や先王のただ一人の御子を宿す大切な身なのだ。先王陽祖はついに在世中、一人の御子も儲けることはなかった。しかしながら、最晩年に迎えた若い側室である雪鈴が予期せず懐妊した。陽祖の崩御により、かねてから世子に冊立されていた李虔(イ・コン)が直ちに即位し、直祖となったものの、新王にもいまだ御子どころか、妃の一人さえいない現状、雪鈴の胎内で育ちつつある御子の存在はこの国の未来にとって大切なものだ。