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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第5章 突然の別離
ーああ、叶うなら、もう一度、我が家のあの可憐なシモバシラの花を見たかった。
もう実家に二度と戻れない自分があの可憐な花を見る機会は永遠に巡ってこない。
彼女が最後の瞬間に瞼に思い描いたのは、良人の顔ではなく、懐かしい故郷で咲く、白い可憐な花だった。
雪鈴は小走りに進み、眼を固く瞑って身を躍らせた。彼女の小さな身体は吸い込まれるように落ちてゆき、少しく後、はるか下方で水飛沫が上がった。