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第30章 揀擇

　気の毒なのは、あの場に居合わせた令嬢であった。五人の令嬢たちはいずれもが色褪せぬ名花だった。王朝始まって以来ともいわれる多数の応募者から選ばれ、幾度もの厳しい選考を経て今日、晴れの場に来たのだ。




　あのまま何事もなくば、彼女たちは王妃の座にはつけずとも、少なくとも美男の国王の側に侍ることは約束されていた。妃としてーもしや寵を得て国王の御子の母となるやもしれぬ未来を目前で失ったのだ。