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第6章 蝶のいざない

　これは夢か、さもなければ俺の頭が狂ったかどちらかだ。数え切れないほどの銀蝶が舞う光景は美しいのは間違いない。しかし、あまりに美しすぎて、かえって現(うつつ)のこととは思えぬがゆえに、この美しすぎる蝶たちは魔か妖(あやかし)が見せたものに相違ないと信じた。



　いかほどの刻が流れたのだろう。彼にとっては随分と果てしなく思われたけれど、恐らくたいした時間ではなかったはずだ。