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第40章 花、薫る夜

　吉日を卜し九月中旬、金明基の長女桂花は実家を離れ、参内することになる。これは嘉礼(カレ)に備えてのお妃教育を受けるためのいわば準備期間といえた。




　その時、桂花は仮の宿舎とされた殿舎へ戻る最中であった。一刻ほど前に王妃の住まう中宮殿をご機嫌伺いに訪ねた帰りである。王妃は終始上機嫌で、桂花にも義理の伯母、未来の姑としての気遣いを示してくれる。