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第45章 新たな日々

　むろん、心優しい娘を泣かせるような阿漕な真似は一切していない。けれども、この世界で随一と呼ばれるところまでのし上がるまでには、綺麗事だけで済むはずがなかったというのが真相ではある。




　だからこそ、ギルソンは独特の勘で嗅ぎ取っている。ボクスには他人に知られたくない傷があると。大切な娘の生涯とギルソンが築き上げたこの大身代を託すからには、ただ器があるというだけでは済まされない。




　ボクスが背負った過去、翳りは下手をすれば娘まで巻き込んで不幸にするに違いない。そのため、ボクスと娘の間に通い合う淡い慕情を知りつつも、ギルソンは今一つ動きかねていた。