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第9章 優しい日々

　この時、コンの秀麗な面が一瞬、翳った。スチョンの言葉は使用人としては過ぎたものではあるけれど、これはもう毎度のことである。スチョンは乳母であり、コンには育ての母なのだ。



　コンの翳りの原因が判らないまま、雪鈴は小卓を床に置き、上に掛けた鮮やかなポジャギ(風呂敷)を捲った。慣れた手つきで茶器から湯飲みにお茶を注ぐ。