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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第10章 再び春巡りて
 深い幾億もの夜を閉じ込めたぬばたまの瞳が迫ってくる。雪鈴はごく自然に眼を瞑った。



 彼が好んで身につける若葉の香りの香がかすかに漂い、雪鈴を包み込む。胸に吸い込めば、心が洗われる清(すが)しい匂いだ。彼という存在を象徴しているようでもある。



 この瞬間、恐らく口づけられるのだろうと思った。けれどー。
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