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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第10章 再び春巡りて
心が、想いがこれ以上、深くならない中に。別離が来て欲しいのか欲しくないのか、雪鈴自身にも判らない。ただ一つ言えるのは、彼が口づけてくれようとしたーもしかしたら、一生に一度きりの宝物のような体験を冗談に紛らせてしまったことを酷く残念に思う気持ちを拭えないということだった。
そして、文陽君の屋敷は、また突然の来訪者を迎えることになる。その人は暦が四月に変わったその日の朝、賑やかにやってきた。