パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第10章 再び春巡りて

　この二人が口とは裏腹に気心の通じ合った兄妹であるのは一目瞭然だ。



　まるで童のように口喧嘩をする二人を間近にして、雪鈴は心のどこかで淋しく思った。雪鈴には三人の兄がいたけれど、コンと清明のように喧嘩をしたこともない。兄たちはいつも女の子である雪鈴には構ってくれず、自分たちだけで遊んでいた。幼い頃、雪鈴はいつも兄たちの後をついて回っては、相手にして貰えないと泣いていた。