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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第173章 雨に濡れた慕情
「ゆき!!これを機に、自分の健康と向き合うことに切り替えて療養しなさいよ!!」
「分かってるわよ〜」

それから数分後であった。

出発時刻が来たので、ゆいさんはゆきさんに言うた。

「ゆき、これからうちらは多忙な日々がつづくのよ…次、あんたのお見舞いに来れる日はないかもしれへん…あんたは、お医者さんと看護師さんの言う通りにしたがって、療養するのよ。」

ゆきさんは、つらい声で『分かったわ〜』と答えた。

この時、ゆきさんの看病をしていた哲人《てつと》がユニクロのロゴ入の紙袋を持って病室に入った。

哲人《てつと》は、ゆきさんが着る換えの下着を買いにユニクロに行ってた。

ゆりさんは、哲人《てつと》に声をかけた。

「哲人《てつと》。」
「ゆりおばさま。」
「ユニクロに行ってたのね。」
「うん…かあさんが着るエアリズム(肌着)を買いに行ってた。」
「分かったわ…哲人《てつと》…うちらは明日から多忙な日々がつづくからお見舞いに来れんと思う…おかーちゃんの看病を頼むね。」
「うん。」

ゆりさんとゆかさんとゆいさんは、このあと付き人軍団の男たち100人と一緒に病院から出発した。

(ゴーッ…)

夜8時半頃であった。

この時間、空は満天の星空に変わった。

ゆりさんとゆかさんとゆいさんが乗り込んだ専用機が広島空港から飛び立った。

ゆきさんは、ぼんやりとした表情で窓に写る星空を見つめていた。
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