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ビッケとビッチ
第2章 11月19日日曜日午後5時~
 30

「よし、ご褒美あげるね」
 と、わたしはそう囁き、両手で和哉くんの顔を挟み、キスをしていく。

「あ…ん…」
 すると和哉くんはわたしの肩を抱いてきた。

 あ、ヤバい…

 このまま彼に、また、肩を抱かれて流されそうに…

「よ、よしっ」
 と、わたしは必死に自分の心を奮い立て…

「さ、さぁ、帰ろうか…」
 そう言った。

「え?…」

 多分、おそらくは、和哉くんは今夜も朝まで過ごすつもりでいたのであろう…

 何で?…
 みたいな顔をしてくる。

 だが…

 一昨夜は、久しぶりのセックスにイキ狂い、寝落ちしてしまったから朝まで過ごしてしまったけれども…
 わたしは基本的には、お泊まりはしたくないのだ。

 なぜなら、寝ている間抜けな顔を見られたくはないから…

「うん、明日、朝早いのよ…」
 とりあえずは、最もなウソをつく。

「あ、は、はい…」

「また今度ね、電話かLINEするから」
 和哉くんがあまりにも残念そうな顔をしてくるので、つい、そう言ってしまう。

「は、はいっ」
 現金なモノで、そのわたしの言葉で急に明るくなった。

「どっちみち明日か明後日に生理になっちゃうから、終わってからだからね…」

 その言葉は…
 そう、間違いなく最愛の二人の言葉である。

「あ、はい、ま、待ってます」

 また、その明るい返事と笑顔に、わたしの心がキュンキュンしてしまう。

「うん、よろしい」

 最愛ではなく、セフレの会話にしたいのだが…

 だけど、まだ、今は無理…

 そしてわたし達は帰り支度をする。

「ら、来週っすかねぇ?」

「うん、多分ね…」

「あぁ、待ち遠しいなぁ…」

 そんな和哉くんが、可愛くてたまらない…





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