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12歳年下の彼とクリスマスする話
第10章 彼と私のクリスマス
とりあえず…帽子は脱いだけど…。
彼と一緒に部屋を出て、
2階にあるレストランに向かった。
キャンドルライトが揺れる
テーブルに案内されて。
最初の1杯は…コースに含まれているのか。
スパークリングワインが
ソムリエからグラスに注がれて。
最初のアミューズが運ばれてくる。
『とりあえず…、乾杯しましょうか…』
グラスを…こちらに、
彼が差し出して来て。
自分のグラスを巴が手に取ると。
『メリー・クリスマス』
「メリー・クリスマス」
チン…と…他のテーブルの
お客さんの邪魔にならない様に、
小さな音を立てて乾杯をすると。
1口スパークリングワインを
口に運んで飲み込んだ。
淡路島の3年トラフグの
カルパッチョに、
鮑とホワイトアスパラを
生クリームで煮込んだ
イタリアの家庭料理のフリカッセ。
松茸の香りがする、
キノコのパイ包みのスープ。
その他にも、フルコースで
淡路島の食材を使った
料理が順番にテーブルに運ばれて来て。
メインは淡路牛フィレ肉と
フォアグラのポワレ。
ソースには神戸ワインが
使われているのだそうだ。
最後に、コーヒーと
プティフールが提供されて。
目にも舌にも美味しい
クリスマスのフルコースを頂いて。
自分達の部屋に戻ると、
テーブルの所に
部屋を出る前には無かった
スパークリングワインのボトルがあって。
お皿とフォークが用意されている。
部屋にある冷蔵庫から
彼が白い箱を持って
その箱をテーブルの上に置いた。
『クリスマスケーキ
一緒に食べませんか?
やっぱり…クリスマスだし
ケーキがないと始まらないと言うか…』
「ケーキ…頼んでてくれたの?」
『ええ、お腹がまだ
一杯だって言う事でしたら、
先にお風呂に入りましょうか?』
「あ、お風呂の事…なんだけどね…
今日は…別々に…入りたいかなって」
折角…彼へのプレゼントとして、
用意した物一式が…
このままじゃ無駄になりそうだし。
巴が…港斗にそう提案すると。
『あの…もしかして、巴さん
僕のリクエストの品…を
今日の為に用意してくれたんですか?』
「だっ…、だって…
港斗君…他に欲しい物…
結局言ってくれなかった…から…ッ」