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続々ストリート・キス
第1章 続々ストリート・キス
「おはよう…ってもうすぐお昼だよ」
「あ、そうですね」
 電話をくれたのは嬉しかった。時刻を確認するとあと数分で正午だ。
「良い天気ですね」
「そうね」
「僕はすごい二日酔いなんですが香奈美さんは大丈夫?」
「ぜんぜん大丈夫じゃない」
 電話の向こうで彼女が笑う。僕も釣られて笑う。
「私もすごい二日酔いなの」
「ですよね」
「うん。あのね。声が聞きたくなってね。電話したの」
「…僕も…です。香奈美さんの声が聞きたいと思っていました」
「えー?本当に?」
「ええ。マジで」
「じゃあなんで電話くれなかったの?」
「それは…さっき起きたばかりなんで」
「ふうん。ねえ、頭がガンガンするわ。なんでかな」
「奇遇ですね。実は僕もなんです」
 あはは、と彼女が楽しそうに笑う。ベッドに転がっている僕も笑う。そんな生産性のない話を30分ほどしてから「じゃあね」「ええ。また」と二人で同時に電話を切った。
 特に用はなかったらしい。本当(マジ)で僕の声が聞きたいと思ってくれたようだ。
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