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続続々ストリート・キス
第1章 続続々ストリート・キス
 …どうすればいいんだ。今そんなことを言われても困る。
「ああ、もう、頭痛が」
 眉間にシワを寄せてこめかみをさすっている、と思ったらいきなり立ち上がった。
「我慢できない。不愉快だわ」
 僕の顔も見ずに言い捨てた彼女が通路に向かって移動し始めた。まだ演奏の途中で何百人もの観客に囲まれているのに、そんな真似をしたのは彼女一人だけで、非難の目が集中しているのにぜんぜん気にする様子もなく、呆気に取られている僕を一度も振り返らずに通路に出た彼女は、後ろの出口に向かってスタスタと歩いていく。
 取り残された僕は混乱の極みにいた。どうすべきなのか?どうしたらいいの?
 …彼女を追うしかない!
 演奏が続いていたけれど、僕も彼女のように立ち上がった。
「すみません」
 周囲の人たちへ小さな声で謝りながら中腰で移動する。通路にたどり着き、ホール出入り口のドアを開けて出ていく彼女のあとを追った。
「江田くんは聴いていればいいのに」
 やっと追いついたのはコンサートホールの外だった。横に並んだ僕へ、彼女の固い声が突き刺さる。その声の時の彼女はかなり機嫌が悪い。機嫌が悪い時の彼女はかなり意地悪な人になる。
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