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続続々ストリート・キス
第1章 続続々ストリート・キス
 いつものかわいい笑顔が戻り、いつものほんのり色っぽい上目づかいで僕を見た。気分の切り替えの早い彼女である。
 目についた無国籍料理の店に入る。機嫌が治った(頭痛がぁと言わなくなった)彼女と適当に頼んだ料理を愉しみビールを飲む。コンサートの話題は蒸し返さない。機嫌が悪くなった原因の話題は一切触れない。それが僕がこっそり決めた「彼女ルール」だ。彼女はおしゃべりが好きというタイプじゃないので話題を無理に探す必要もない。話したいことがあったら彼女が自分でしゃべった。
「ふう。おいしかった。お腹いっぱい」
「僕もです。そろそろ行きますか?」
「そうね」
 立ち上がった彼女が伝票をスッと取り上げた。
「払いますよ。僕が誘ったんだから」
「いいの。ここは私が」
「…ありがとうございます。ごちそうさまです」
 彼女の意思は絶対で、曲げようとすると機嫌が悪くなる。だから僕は素直に引き下がった。それにおそらくさっきのコンサートでの行動の謝罪も含まれているのだ。
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