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【全話版】ストリート・キス
第7章 彼女ルールのおさらいと招かれてセックス
 テーブルと椅子が四脚ほど。ソファはなかったと思う。ほどよくエアコンが効いていた。インテリアの類は、あったかどうか覚えていない。
 テーブルの向こうに細身の男性が座っていた。無地のシャツに細い縁のメガネ。休日に自宅で寛いでいるにしてはきちんとした感じだった。
 男性の前には紙パックの日本酒とコップがある。この人が彼女のご主人だ。
「江田くんだね。こんにちは。妻からよく君の話を聞いているよ」
「初めまして。おじゃまします」
 …聞いているだって?彼女は僕のことを話しのか?それってヤバくないか?まったく貴女という人はいったい何を考えているんだ。
 僕が座ると、彼はそれまで見ていたらしいテレビに視線を戻した。コップを取り上げ、一口飲む。
 彼の声に酒の酔いは感じられなかった。穏やかで知的な話し方をする。招かれざる客(僕のことだ)への何かしらの感情は読み取れない。きっとこの人は酔っても乱れたり醜態を晒したりしないのだろう、そう思った。
「とりあえず乾杯しようよ。ビールでいいかな」
「あ、はい」
 うなずいた僕に彼女がコップを差し出す。そこにビールを注ぐ。よく冷えていた。
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