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【全話版】ストリート・キス
第9章 水面きらめく湖のほとりでエッチ
七月の終わりか八月の初めだったと思う。夏休み休暇を利用して一人でウィーンへ行ってくるという話を彼女から聞かされた。ウィーン大学の聴講生としてだったような…僕の記憶違いかもしれない。社会人の語学留学みたいな話だった。期間は二週間か三週間。ついでにモーツァルト生誕の地であるザルツブルクへ足を伸ばすと言う。
憧れのウィーンへ行く話をする彼女はとても嬉しそうだった。その様子を見て、彼女が僕の手の届かないところに行ってしまう、今までの僕たちの関係を投げ捨て、僕だけを置き去りにして行ってしまう、そんな気がした。
三週間も彼女に会えないのは寂しい。僕がそう言ったら彼女は変なことを言った。「時が解決してくれるから」とか。確かそんな言葉だった。
彼女は別れたがっている。ウィーン行きで二人が物理的にも離れ離れになるのをきっかけにして、僕との関係を絶とうとしている、そう感じた。
彼女を失うのが怖かった。彼女は僕のすべてだったから別れるなんて考えられない。
「時が…」
同じ言葉が繰り返され、そのニュアンスの中にためらいを感じた。彼女も迷っているのだ。
憧れのウィーンへ行く話をする彼女はとても嬉しそうだった。その様子を見て、彼女が僕の手の届かないところに行ってしまう、今までの僕たちの関係を投げ捨て、僕だけを置き去りにして行ってしまう、そんな気がした。
三週間も彼女に会えないのは寂しい。僕がそう言ったら彼女は変なことを言った。「時が解決してくれるから」とか。確かそんな言葉だった。
彼女は別れたがっている。ウィーン行きで二人が物理的にも離れ離れになるのをきっかけにして、僕との関係を絶とうとしている、そう感じた。
彼女を失うのが怖かった。彼女は僕のすべてだったから別れるなんて考えられない。
「時が…」
同じ言葉が繰り返され、そのニュアンスの中にためらいを感じた。彼女も迷っているのだ。