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【全話版】ストリート・キス
第11章 帰国〜荒れる彼女
昼休みに助け舟を出してくれた先輩が、ふさわしいおしゃれなグラスが無いことに気づいた。自分たちの茶飲みやマグカップぐらいしかない。
「せっかくだけど仕様がないね。松木さん。ごめんね」
謝るその先輩へ向かって彼女は引き攣った笑みを浮かべる。
オフィス奥の会議スペースのテーブルに高級ブランデーのボトルとチョコレートの箱、参加者各自の茶飲みやらマグカップが雑然と並ぶ。彼女自身もグラスの件は失念していたようで、いつも休憩時間にコーヒーを飲んでいるカップだった。
ホスト役であるはずの彼女は固まったように動かない。嵐の予感がした。いたたまれない雰囲気に僕は逃げたくなった。そしてそれはいきなり起こった。
「なんで氷が無いの?どうして買ってきてくれないよのよ」
僕に向かって彼女が大きな声を上げた。堰を切ったようになじる言葉が続く。
「ありがとうも言われていない!おつまみとか氷とか用意すべきでしょう!」
「えっ!」
えっ!!僕がですか!?と言ってしまってから、自分がしくじったのに気がついたけれど、もう遅かった。
「気が利かない!」
「お子様ね!」
「人の気も知らないで!」
「むかつく!」
「せっかくだけど仕様がないね。松木さん。ごめんね」
謝るその先輩へ向かって彼女は引き攣った笑みを浮かべる。
オフィス奥の会議スペースのテーブルに高級ブランデーのボトルとチョコレートの箱、参加者各自の茶飲みやらマグカップが雑然と並ぶ。彼女自身もグラスの件は失念していたようで、いつも休憩時間にコーヒーを飲んでいるカップだった。
ホスト役であるはずの彼女は固まったように動かない。嵐の予感がした。いたたまれない雰囲気に僕は逃げたくなった。そしてそれはいきなり起こった。
「なんで氷が無いの?どうして買ってきてくれないよのよ」
僕に向かって彼女が大きな声を上げた。堰を切ったようになじる言葉が続く。
「ありがとうも言われていない!おつまみとか氷とか用意すべきでしょう!」
「えっ!」
えっ!!僕がですか!?と言ってしまってから、自分がしくじったのに気がついたけれど、もう遅かった。
「気が利かない!」
「お子様ね!」
「人の気も知らないで!」
「むかつく!」