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【全話版】ストリート・キス
第12章 オペラ公演でエッチ
 そういえば…ウィーンにいるあいだに彼女はオペラを観たと言っていた。シュターツオーパーだっけ。戻ってきた彼女によって僕の記憶は訂正された。
「フォルクスオーパーよ。シュトラウスだからオペレッタね」
 彼女曰く、庶民向けのカジュアルな作品がオペレッタと呼ばれ、ヨハン・シュトラウス二世がオペレッタ作品の大御所らしい。さらに主にオペレッタを上演しているのが「ウィーン・フォルクスオーパー」だという。
 彼女の音楽趣味はウィーンを起点としている。ヨハン・シュトラウスとモーツアルトをこよなく愛し、ウィーン少年合唱団も大好きだ。絵画にも知識があったがウィーン生まれの画家であるクリムトやエゴン・シーレは好きじゃないと言う。
 日頃からドイツ語を勉強しているけれどドイツが好きだからではなくて、オーストリアの公用語がドイツだから、将来、ウィーンでドイツ通訳をやりたいからと彼女本人から何度も聞いた。
 彼女にとっては興味の範囲外のはずのワーグナーのオペラコンサートに、多額のチケット代を払ってまで付き合ってくれたのはなぜなのか?
「興味があったから」
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