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人質交換を託された女
第2章 身柄拘束
男の提案により、苦渋の選択を迫られる。助けを待ち望む、女性行員10名の期待を、警察官として裏切ることはできなかった。

男を見つめ、銃口を見つめ、女性行員たちのことを考えた。「ふぅ…」と大きく深呼吸をして、ゆっくりと目を閉じた。肩の力が抜け、一つの選択を余儀なくされる。

女性たちの身代わりになる。自ら手を後ろに回す。それがどれだけ危険なことか、理解できていた。身代わりになるという事は、自身の身の管理を事件解決まで、犯人グループに委任するという事だった。手を後ろに回してしまえば、身を守る術を失うということを意味していた。

自身の危機が間近に、現実として迫り、胸が早鐘を打つ。男たちに包囲され、退路を断たれた私には、大人しく従い、手を後ろに回すこと以外、他に選択の余地がなかった。

両手を上げていた腕をゆっくりと下ろし、自ら腕を後ろに回そうとした。すぐに自分の意志とは違う力で、左右の手首を掴まれた。それは今か今かと、手ぐすねを引いて待っていたようだった。背後の男には迷いがなく、私の両手首をしっかりと捕らえて離さない。見ず知らずの男に、体を触れられた不快感でいっぱいになる。

拒否反応が「ィヤッ…」と声になって表れ、とっさに体を揺すり、胸が締め付けられる。

私は抵抗を諦め、「分かったから…」と伝え、手の力を抜いた。
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