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人質交換を託された女
第9章 板挟み
彼女が男たちの狡猾な罠に嵌るのを、私は放っておくことができなかった。ロープは左右の二の腕を取り囲み、固い力で私の意思を強引に退ける。今度は力業で、後ろに組まれた両腕をロープの輪から出そうする。両腕が隙間なく束ねられ、僅かしか横に動かせない状況に、呵責(かしゃく)という複雑な感情が入り混じる。

私の体を縛り付ける理不尽な縄。それは私が抵抗してあがく度に、ミシミシと音を立てて軋んだ。肉体が閉塞感に耐えられず、自由を求め、縄を引きちぎろうと、少しでも緩めようと、圧力をかける。

息を止め、力を振り絞り、体に緊張を走らせ、拘束という不条理から脱しようと試みる。自由を求め、拘束に反抗した代償は、ギシギシと軋む縄の音に耳を澄ませた後にやってくる。縄の弾力という手痛いしっぺ返しを食らい、さらに引き締まった縄の力に屈し、息が詰まる。

火照った肉体は柔軟さを増し、体の線に沿い、縄との密着を許してしまう。縄の締め上げという罰を受け、「はぐぅ…」と吐息を漏らす。一時も心が休まらないムズムズとした状況に、肉体が落ち着きを失くし、自由を求め、体を動かしてしまう。
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