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人質交換を託された女
第9章 板挟み
肩を落とし項垂れる私の目には、佐伯さんが見えた。もう彼女が自力で拘束を解くのは不可能だと感じていた。後ろに回された両腕の肘が胴体に隠れて見えないほど、しっかりと後ろに組まされたことが分かった。彼女の力なく伸ばされた指先が、胴体の背後からお腹の左右に出ていた。
彼女の息遣いが、「はぁはぁ…」と荒くなっていく。彼女もきっと気付いているはずだった。彼女が視線を落とした先には、褐色のリングが見えているはずだった。それは肉体からの発信だった。その先端がどんどんと大きくなり、目立つようになっていた。
それは肉体の危機を告げていた。彼女は両腕が後ろに縛られたことにより、胸が無防備になったことを改めて自覚し、救いの手が伸びない致命的な事実を認識した。体を揺すり始め、お腹の横から顔を出す、左右の手首を回して、拘束を解こうとしていた。それだけでは解くことができず、視線を落としても、自身の目から拘束された手首を視界に捉えることができないはずだった。その絶望を味わい、彼女は天を仰ぐように目を閉じていく。
彼女の息遣いが、「はぁはぁ…」と荒くなっていく。彼女もきっと気付いているはずだった。彼女が視線を落とした先には、褐色のリングが見えているはずだった。それは肉体からの発信だった。その先端がどんどんと大きくなり、目立つようになっていた。
それは肉体の危機を告げていた。彼女は両腕が後ろに縛られたことにより、胸が無防備になったことを改めて自覚し、救いの手が伸びない致命的な事実を認識した。体を揺すり始め、お腹の横から顔を出す、左右の手首を回して、拘束を解こうとしていた。それだけでは解くことができず、視線を落としても、自身の目から拘束された手首を視界に捉えることができないはずだった。その絶望を味わい、彼女は天を仰ぐように目を閉じていく。