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人質交換を託された女
第2章 身柄拘束
勝ち目のない男の力で、腕が無理やり後ろに回され、左右の手首がクロスされ、重ね合わされる。力でねじ伏せられた感覚に、「ハッ…」と声が漏れてしまう。背中は背もたれに押し付けられ、その反動で首を反らせていた。同時に捕らわれの身になる自身の姿が、天井の灯りの眩しさで目を閉じた時、頭の中でパッと浮かんだ。犯人グループからの現実的な回答として、ロープが頭の中のイメージと、先行き不透明な憂(うれ)いとの隙間を埋めるように、手首に絡みつく。私の自由を奪おうとする、その望まない拘束に、「ァ…」と諦めにも似た、すでに手遅れと悟る、小さな声が出た。
ロープが手首に巻きつき、左右の手首が繋ぎ合わされる。ロープが強さを増しながら、執拗に何度も手首に絡みつく。その度に運命の歯車がギシギシと音を立てて崩れ、自由のない、動けない新たな歯車がはめ込まれたようだった。もう後戻りできない気持ちが、絶望的なきつい拘束が、「やっ…やっ…やっ…」と声を出させ、首を左右に振らせていた。
すぐ近くから火薬の匂いが鼻に届いた。銃口は私の顔の近くにあった。火薬の匂いがするという事は、この銃口からつい最近、弾丸が発射されていたことを意味していた。
「窮屈な目に遭わせてしまうが…辛抱してくれないか…」
男の声が聞こえた。
ロープが手首に巻きつき、左右の手首が繋ぎ合わされる。ロープが強さを増しながら、執拗に何度も手首に絡みつく。その度に運命の歯車がギシギシと音を立てて崩れ、自由のない、動けない新たな歯車がはめ込まれたようだった。もう後戻りできない気持ちが、絶望的なきつい拘束が、「やっ…やっ…やっ…」と声を出させ、首を左右に振らせていた。
すぐ近くから火薬の匂いが鼻に届いた。銃口は私の顔の近くにあった。火薬の匂いがするという事は、この銃口からつい最近、弾丸が発射されていたことを意味していた。
「窮屈な目に遭わせてしまうが…辛抱してくれないか…」
男の声が聞こえた。