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人質交換を託された女
第10章 感情との葛藤
目を開ければ、目の前の男が黒いマスクを外していた。それをリーダーに注意されたのだと気付いた。
短髪の穏やかな表情をした男性だった。
「こんな危険な目に遭わされて…よく頑張ったな…もうひと踏ん張りだ…」
男の『よく頑張ったな…もうひと踏ん張りだ…』の言葉に、私の目が大きく開いていく。それは、どこかで聞いたことのある口調だった。
すぐに頭がフル稼働する。気が付けば男に唇を奪われていた。この人に会ったことがあるかもしれない…という驚きから、目を閉じられないでいた。
「もうすぐここから出られる…彼女も一緒だ…」
今までに出会った人との、記憶の奥深くにある引き出しを、必死に開けようとする。男の顔が再び近付く。私は瞼を閉じ、そのまま男の唇を迎え入れた。そして唇の扉が自然と開いていく。
すぐに男の舌が私の口内に滑り込んでくる。
「ハァ…」と吐息を漏らし、甘じょっぱい味に体をくねらせてしまう。それが自身の汗の味と分かり、口を閉じようとする。しかし、男の唇を軽く甘噛みしてしまい、それが男の舌を誘い込んでしまう。
短髪の穏やかな表情をした男性だった。
「こんな危険な目に遭わされて…よく頑張ったな…もうひと踏ん張りだ…」
男の『よく頑張ったな…もうひと踏ん張りだ…』の言葉に、私の目が大きく開いていく。それは、どこかで聞いたことのある口調だった。
すぐに頭がフル稼働する。気が付けば男に唇を奪われていた。この人に会ったことがあるかもしれない…という驚きから、目を閉じられないでいた。
「もうすぐここから出られる…彼女も一緒だ…」
今までに出会った人との、記憶の奥深くにある引き出しを、必死に開けようとする。男の顔が再び近付く。私は瞼を閉じ、そのまま男の唇を迎え入れた。そして唇の扉が自然と開いていく。
すぐに男の舌が私の口内に滑り込んでくる。
「ハァ…」と吐息を漏らし、甘じょっぱい味に体をくねらせてしまう。それが自身の汗の味と分かり、口を閉じようとする。しかし、男の唇を軽く甘噛みしてしまい、それが男の舌を誘い込んでしまう。